2021年11月18日~21日に開催されました、
第41回医療情報学連合大会-第22回-医療情報学会学術大会
(大会テーマ:DX後のNew Normalな医療を考える | 「出来ない」から「出来る」へ)において、リアルワールドデータ 千年カルテデータベースを活用した研究内容に関する講演をさせていただきました。
■ 一般口演[2-E-1-01]
「がん患者の臨床アウトカムにおける電子カルテデータベースを用いた評価方法の後ろ向き研究」
*荒木 賢二1、米本 直裕2、東郷 香苗2、大木 恵美子3、徐 凌華2、長谷川 義行4、井上 裕文4、山下 咲子4、松元 信 弘5 (1. 宮崎大学医学部附属病院 病院IR部, 2. ファイザー株式会社 ヘルスアンドバリュー統括部, 3. ファイザー株 式会社 オンコロジーメディカル・アフェアーズ部, 4. 株式会社NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部, 5. 宮崎 大学医学部附属病院 呼吸器内科)
■ アブストラクト
【背景】
電子カルテ(EMR)データの研究利用への期待は大きいが、臨床アウトカムに関わる多くのデータは非構造化データであるため、解析が困難という課題がある。本研究では EMRを用いて、がん患者を対象に薬物治療 効果などのアウトカムを客観的に評価する手法を検討した。
【方法】
宮崎大学医学部附属病院に2018年4月から2021年3月に通院または入院した、肺がん患者15例(グ ループ A)及び肺がん及び乳がん患者100例(グループ B)を対象として、後ろ向きに EMRデータを収集し た。評価者の医師2名により、グループ Aの医師の経過記録、腫瘍に対する放射線レポート及び病理検査レポート の記載に基づいて、薬物治療の効果判定を行った。グループ Bに対しては、グループ Aにおける治療効果の評価手 法を当てはめた。また、遺伝子検査結果が EMRから収集可能か検討した。
【結果】
グループ Aの15例28治療ラインにおける治療効果(奏効、安定、進行)の評価者間の最良効果一致率は 0.59であった。治療効果判定に用いられたデータは経過記録が61%、放射線レポート29%であった。判定の基と なった用語(キーワード)は、奏効では「縮小」、「効果」、「著変」(否定表現)で、「縮小」は感度、特異 度ともに高かった。これらのキーワードはグループ Bでも確認できた。また、グループ Bにおいて、遺伝子検査結 果は延べ296件中77%で結果を抽出できた。
【考察】
EMRの非構造化データからがん患者の治療効果判定に有用な情報を得られることが分かった。今後、複 数施設の症例への適応及びキーワード間の関係について検討が必要である。
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